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耕さない田んぼの稲つくり(冬期湛水・不耕起移植栽培)を南阿蘇で実践しています。

 

〒869-1411 熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陰4486-19

湛水の不思議な力MAGIC OF FLOODING

轍の跡が消える
何の力がどのように働いているかは解らない。しかし、湛水を継続している田んぼでは、漏れ水や雨のために干すことができないぬかるんだ田んぼの稲の刈り取りでできたコンバインのクローラの轍の跡の凸凹が平らになる。
但し、浅水ではなく、深水での湛水でなければならない!

2011年の刈り取り直後の田んぼCの様子

◇田んぼCが凸凹になった理由

 耕さない田んぼの稲は、稲体が元気で、葉が青々しているだけでなく、穂軸も枯れるのが遅いため刈り取り時期が、慣行栽培とより遅くなる。
 暗渠施設が埋没してしまっている田んぼCは乾かすのに1週間程度の晴れ間が必要だが、2011年の刈り取り時期に晴れ間が長続きせず、刈り取りが予定以上に遅れた。
 そんな事情で刈り取りが遅れる中、何故か、田んぼCの上の田んぼが今年から稲刈り直後に、荒起こしを済ませて、湛水し始めた。この田んぼからの漏れ水の可能性もあったが、確たる証拠があるわけでもなかったし、諸般の事情から敢えて波風を立たせたくなかった。

 いずれにしても、これ以上刈り取り時期を遅らせる訳にもいかなくなってきたが、小型のコンバインではぬかるみに足が取られるため、湿田でも刈り取り可能な機能(クローラーから運転席が持ち上がる)を持つ大型の6条刈りコンバインにお出まし願うしかなかった。

 その結果、大型のコンバインのクローラの轍の跡で凹んだいくつかの筋のある田んぼと化してしまった。

◇田植え前に、排水路を作ろうと思ったが・・・

 毎年、大型コンバインで田んぼに凸凹を作りたくなかったため、田植え前に排水路を設けるつもりで田んぼを干した。その時の写真が下記で、上記の写真とは逆方向から撮影している。


 クローラの轍の跡が少々凹んでいるが、田植えには支障がないほど、凹みが埋められていた。

 と、写真で確認できるように、この田んぼは問題なく干せた。

 実は、上の田んぼの湛水が終わっていたのである。

 ぬかるんでしまった因果関係が判明したので、稲刈り時期に湛水を止めてもらうことにし、排水路の設置を中止した。その後、湛水状態に戻し、そのまま田植えし、2012年の刈り取りも問題なく行えた。


 上記の写真は刈り取り直後の冬期湛水を開始したときの写真だが、田んぼの凸凹が更に修正されている。

 2012年の刈り取り前に判明したのだが、上の田んぼから水が漏れ出ている場所を発見し、上の田んぼとの畦を補修したら、漏れが止まった。そのため、上の田んぼの湛水のあるなしに関わらず、田んぼを干すことができ、余計な苦労をすることなく、稲刈りを無事に終わらせることができた。

 紆余曲折有ったが、コンバインのクローラーで凸凹にされた田んぼを平坦にするために、特別に何かした訳ではなく、その間の段階としては、(1)湛水状態にし、春を迎え、(2)一度、干して固め、(3)湛水状態に戻し、(4)田植えを行い、(5)刈り取り前に干し、(6)刈り取りを行った、になり、いつもの田んぼ管理と異なるのは(2)の段階が余計に入っているのみである。

 いずれにしても、コンバインのクローラーで凸凹にされた田んぼは、湛水状態にしておくと凸凹は均平化されるのである(条件設定は異なるが、別の田んぼでも同様の経験をしている)。

 ちなみに、ここでモデルになっている田んぼは不耕起栽培4作目を終えた田んぼで、トラクターは不耕起栽培を始める前に入って以降、一度も入れてない。

2013/03/20記