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耕さない田んぼの稲つくり(冬期湛水・不耕起移植栽培)を南阿蘇で実践しています。

 

〒869-1411 熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陰4486-19

平成26年の稲つくり計画Rice Farming Plan at 2014

新しい取組(1)「山田錦(酒米)」を栽培

今年、初めて、山田錦を栽培します。栽培面積は約4反(3枚の田んぼ)。もちろん、農薬は一切使わず、肥料も一切使わずですが、この栽培にはイトミミズの餌となる米ぬか、山のミネラル成分も使わずにと耕さない田んぼの稲つくりよりも更に厳しい条件が設定されています。

山田錦つくりは喜多いきいきくらぶの一員として取り組み、山田錦を買っていただく酒蔵も決まっています。
著名な酒蔵も含まれており、社名の掲載の承諾が得られれば紹介します。

栽培した酒米で醸造される日本酒を飲むことができるのは、稲つくり農家としてこの上ない喜びになると思います。

ここで、その日本酒を販売することはできませんが、大々的(!?)に紹介します。また、酒粕は販売できると思うし、五割磨きする純米吟醸の削られた山田錦を材料に加工製品も検討することになっています。

新しい取組(2)「もち米(緑万葉、ミヤタマモチ)」を栽培

もち米を希望するお客様の声にお答えするためと、はらっぱ・ラボの米製品の原料としてのもち米を確保するために栽培します。

どんな米製品になるかは、収穫が終わった頃に案内します。

新しい取組(3)「森のくまさん」を栽培

三年連続して米の食味ランキング「特A」と検定された森のくまさんは、ヒノヒカリと栽培特性が似ているため、南阿蘇の冷涼な気候風土で栽培すると、更に、美味しいのではとの思惑から、試しでの栽培です。

収穫後、食味検査後に、案内します。

新しい取組(4)「移植期をずらしたコシヒカリ」を栽培

幾つかの悪条件が重なり、コシヒカリの適期と言われる時期に田植えできたのは1枚の田んぼだけです。

もう一枚の田んぼでもコシヒカリを栽培する予定ですが、移植は夏至を越してからになります。

コシヒカリは夏至を過ぎると穂をつくり始めると言われていますが、夏至を越した移植では異なる生育を示すことが判明したので、どのような生育が観られるのか観察する予定です。

コシヒカリの栽培では3月に種まきし、ハウスで温度管理するのですが、氷点下を下回る日が少なくない南阿蘇では難儀で面倒な苗つくりになります。
その難儀な苗つくりがが楽になる可能性があるだけでなく、登塾期が昼夜の気温差が大きくなるお盆以降になるため、美味しさが増す、高温障害を回避できるようで、試したい好奇心が呼び寄せた悪条件なのかもしれません。

新しい取組(5)「表層耕起」栽培

はらっぱ・ラボは、新しい農機を購入しました。

田んぼを耕さない稲つくりなので、絶対に要らないはずのトラクターをです。

耕さない田んぼの稲つくりは未完です。何が未完なのかと言うと、耕さない田んぼで群生する水草があることもその一つです。
また、耕さない田んぼの稲つくりに不可欠な専用の乗用田植機の販売が中止されたため、耕さない田んぼの稲つくりを続けるにも、新たに挑戦してもらうにも不可欠な専用の乗用田植機をどう手当てするか?という新たな問題が発生しています(歩行用の二条田植機は入手可能)。

で、それらの問題を解決する手段になる可能性を秘めているのが、今回、購入したトラクターです。
購入したトラクターは、イセキの「フルクローラ ピコロ(TCP183)」です。
このトラクターは接地圧が人間の足よりも低いため、走行するとできる轍の沈み込みが抑えられる(=土を踏み固めない)特性を持っています。その特性を利用すると、半不耕起ならぬ表層耕起が可能になります。

フルクローラ ピコロ
<マツバイが群生している耕さない田んぼを表層耕起中。クローラの沈みが小さい。(撮影:2014/04/23)>

表層耕起ができると、(1)耕さない田んぼでも群生する水草(e.g.マツバイ)を表層耕起で除草することができる、(2)冬期湛水した田んぼで表層耕起後に通常の田植機で田植えできる可能性があるなど、今年は、これらの実証実験を行う計画です。
表層耕起すると、田んぼの生きものに影響するのは間違いないが、稲の根は残ることから、土壌微生物の生息圏を破壊せずに済むため、回復は早いのではと期待しいます。
ここ九州では12月の寒い時期でも藻が発生するなど、早い時期から田んぼの生きものの活動が旺盛になります。関東以北とは異なる気候風土が可能にする地域限定の稲つくり対処法になるような気がしています。

表層耕起した後、何年かは継続して田んぼがどう変わるかを観察しなければ結論できないと考えています。