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耕さない田んぼの稲つくり(冬期湛水・不耕起移植栽培)を南阿蘇で実践しています。

 

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発根玄米!?ROOTED BROWN RICE !?

発芽ではなく発根!?
悲しいことに「発芽玄米」は間違いで、「発根玄米」が正しいとの情報を発信するサイトやブログが増えてきた。
その発想の原点は、「種はまず生きるためにはなくてはならない「水」を求めて根を出す」との固定観念からのようである。
だが、種には畑で生長する種類もあれば、水の中(e.g. 田んぼ)で生長する種類もあって、それぞれの環境条件に合わせた芽や根の出し方になっている。
当然ながら、稲は田んぼ環境に適応した芽や根の出し方をすることになり、水が確保された環境にある稲の種は、最初に酸素を求めて芽を出すのである。
このことは稲つくりの書にはきちんと紹介されているが、正しい情報を発信しなきゃとの思いから、お米の発芽の過程を観察してみた。

芽を出した種籾

 2013年4月中旬に種蒔きしたヒノヒカリの種籾を使って、発芽か発根かの観察画像を始めた。
 どの種籾を観察対象にするのかを見極めるためにマジックで印をつけ、ヒタヒタに水を張った器に種籾を入れ、数日で突起物がでてきた。

 稲つくりの書籍(e.g. イネの生長:星川清親著)に記載されている内容を元に説明すると、「白っぽい芽は「鞘葉」と呼ばれ、酸素を求めて伸びる役割を担っているので、鞘葉は酸素を求めて高く生長する」となるが、この段階では芽とも根とも見分けが付かない。

 メモ(1)この種籾は種蒔きするために「催芽」と呼ばれる工程で、芽を出す準備を済ませた種籾である。催芽処理がなされてない場合、もう少し日数が必要になる。
 メモ(2)この観察は、昼間は太陽が顔を出すと18℃まで上昇し、夜間は16℃まで下がる温度環境である。

最初の画像から6日後の状態

 最初に顔を出した突起物から、新たに緑色の突起物が伸びている。
 また、最初の突起物のつけ根から、別の新たな突起物が出てきているのが観察できる。

 果たして、最初に顔を出た突起物、そしてその突起物の中から緑色の新たな突起物が顔を出し始めている部分が根で、次に顔を出した突起物が芽なのか。
 逆に、最初に顔を出た突起物、そしてその突起物の中から緑色の新たな突起物が顔を出し始めている部分が芽で、次に顔を出した突起物が根なのか。

2枚目の画像から2日後の状態

 この画像からは誰がみても、最初の突起物は芽で、次の突起物が根である!

 前出の書籍に記載されている内容を元に説明すると、観察対象の種籾の最初に顔を出た突起部分からは不完全葉が伸び、そして、第1葉目が顔を出している。次に顔を出した突起部からは直根と側根が出ている。

 最初に顔を出した鞘葉は白いままだが、それ以降の不完全葉や第1葉は生長しつつも緑化が進み、光合成を行う葉緑素を持つ葉であることがわかるが、次に顔を出した根は葉緑素を持たない根のため白いままである。


 2枚目の画像でも判明しているように、種籾は芽が出てた後に根が出るのが観察された。

 観察結果からも、玄米は【発芽玄米】が正しく、けしって【発根玄米】ではない!

<蛇足>
 大豆を同様の状態にし、栄養価を高めた豆乳や豆腐を作っている方がいるが、大豆の場合は「発芽大豆」ではなく、「発根大豆」であることには論を俟たない。
 大豆は畑で命をつないできた植物のため、まず、生長に欠かせない「水」を求める根が先にでてくると考える。

2013/05/04記